自然言語処理(NLP)とは?ビジネスでどのように使われているかなど基本から解説

自然言語処理(NLP)とは、AIの主要な研究領域のことです。

例えば、自動翻訳やコールセンターシステム、音声対話システムなどに用いられています。

この記事では、自然言語処理とは何なのか、詳しい仕組みやビジネスにおいてどのように活用すればよいのかなどについて解説します。自然言語処理の全体像を把握し、理解を深めるための参考にしてください。

 

 

 

自然言語処理とは


自然言語処理は、AI(人工知能)の主要な研究領域の1つです。英語では「Natural language processing」となり、「NLP」と略されることもあります。

 

自然言語処理とは、人間が日常的に使用している言葉をコンピューターに理解させ、人間の言葉である自然言語を機械で処理することを指します。つまり、話し言葉や書き言葉、文章や論文などが持つ意味を解析する技術です。プログラミング言語と区別し、自然言語と呼ばれています。

 

自然言語処理を行う目的は何か

自然言語は多くの単語があり複雑で、変化し続けているものです。そのような、「自然言語」を解析することにより、技術発展・進化が期待できます。また、マーケティングなどさまざまな分野で活用されており、業務効率化などにもつながります。

自然言語の特徴とコンピューター言語との違い

自然言語には、「あいまいさ」があることが特徴です。例えば、「赤い瞳の大きい少年」の場合、「瞳の大きな少年」と「瞳が赤く、体の大きい少年」のように、複数の解釈ができます。一方、コンピューター言語はあいまいさがなく、「2 * 6 + 1」のように解釈は1つのみです。そのため、コンピューターが自然言語を理解することは難しく、開発が難しくなっています。

【参考】自然言語とコンピューター言語の種類

自然言語には、多数の言語があります。例えば、日本語や英語、中国語など世界中で使われている言語が自然言語です。また、プログラミング言語にも、自然言語同様に多くの言語があります。アセンブラやC言語、Pascal、LISP、Prolog、R言語、最近のAI開発に活用されているPythonなど、その種類は豊富です。

自然言語処理はどのような場面で活用されているか

ここでは、自然言語処理が活用されるシーンを5つ紹介します。

自動翻訳

自然言語処理は、自動翻訳に活用されています。英語の文章や単語を入力することで日本語に翻訳してくれたり、その逆で日本語を英語に翻訳してくれたりするものです。音声を翻訳するものもあり、これらも自然言語処理の技術が使われています。

チャットボットや、音声対話システム

チャットボットや、音声対話システムにも自然言語処理の技術が活用されています。チャットボットとは、チャット形式で対話をするシステムで、企業のWebサイトやECサイトなどにも多く導入されています。音声対話システムは、入力された音声データを処理して検索し、結果を音声データに変換して対話するというシステムです。

テキストマイニング

テキストマイニングでも、自然言語処理は欠かせません。テキストマイニングとは、文章を解析するための手法です。例えば、SNSなどに投稿されている文章などの大量のテキストデータを解析し、有益な情報を掘り出します。自然言語処理によって文章を単語に分割、出現頻度や関係性などの分析ができます。

検索エンジン

検索エンジンにも、自然言語処理技術が活用されています。自然言語処理によって、検索窓に入力されたキーワードの把握や理解がしやすくなり、より適切な検索結果を表示できるようになります。

かな文字変換予測

スマートフォンやパソコンなどで文章を入力する際、「あす」と入力すると「明日」や「阿須」、「明日は」といったように変換候補や続く文章の予測候補などが表示されますが、これにも自然言語処理技術が使われています。

 

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自然言語処理の仕組み・流れ

自然言語処理は、どのような仕組みなのでしょうか。ここでは、自然言語処理の仕組みや流れについて解説します。最終目的の文章を完成させるためには、高品質なデータを収集→必要な部分を抽出→不要データの削除といった流れで行うことが一般的です。以下では、それぞれの段階の詳細を解説します。

1.事前準備

始めに、事前準備が必要です。事前準備の流れとしては、「辞書の準備」と「コーパスの準備」の2段階に分かれます。以下では、それぞれどのような準備が必要なのかを詳しく紹介します。

1-1 辞書(機械可読目録)の準備

辞書は「機械可読目録」とも呼ばれています。機械可読目録とは簡単にいえば、書き言葉や単語、関連情報などを機械が読めるような形に置き換えたものです。機械が文字を認識、読み取るために必要になります。

1-2 コーパスの準備

コーパスとは、言語の使用方法などを集めて蓄積し記録した「文書集合」のことです。機械の頭脳のような役割を果たすもので、動詞や形容詞などの品詞・統語構造をタグ付けして利用します。

2.解析

辞書やコーパスなどの準備が完了したら、いよいよ解析に移りましょう。解析は、「形態素解析」「構文解析」「意味解析」「文脈解析」という4つの工程で処理されます。以下では、それぞれどのような解析なのか解説します。

2-1 形態素解析

形態素解析とは、単語にまで分割する技術です。単語は、言語を構成する最小単位として知られています。単語に切り出すことで、文章として扱うよりも正確に内容を捉えられ、文字を1単位で扱うよりも意味のある情報が得られます。

2-2 構文解析

構文解析とは、文の構造を扱うための技術です。主語述語といった単語間の構造を解析するもので、どの単語がどの単語に係るのかを解析する「依存構造解析」、隣接する単語の関係から解析する「句構造解析」を用いて分析します。

2-3 意味解析

意味解析とは、辞書にもとづいて単語の意味を理解して、正しい文を解析する技術です。複数の意味がある単語の意味を、単語間の関係性などを参考にしながら決定し、文章を正しく解析します。

2-4 文脈解析

文脈解析とは、文脈にまで範囲を広げて処理する技術です。複数の文章に対して、形態素解析と意味解析を行って、文同士の関係性やつながりを解析します。さまざまな知識が必要となり、意味解析よりも難しい処理として知られています。

3.知識獲得

次に、知識獲得を行います。自然言語処理は、事前準備していた辞書やコーパスの領域だけではなく、それらを超えた知識を学習させる必要があり、機械学習やニューラルネットワークも絡んできます。

4.情報抽出

最後に、情報抽出を行いましょう。情報抽出とは、自然言語から構造化された情報を抽出することです。テキストデータなどから必要な情報を構造化して抽出することで、コンピューターで処理できる状態になります。

自然言語のデータにタグ付けする方法

自然言語のデータにタグ付けするにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは、タグ付け方法について解説します。

意味的アノテーション

意味的アノテーションとは、文脈から判断できる情報をタグ付けすることを指します。文脈から測れる感情判別や情報の確実性などの判断に必要で、検索結果の評価に役立ちます。

言語的アノテーション

言語的アノテーションとは、1つの文章の主題を評価することです。つまり、センテンスがどのようなことを示しているのかを判断するために必要で、テキスト分析に役立ちます。

自然言語処理で実現できること

自然言語処理では、どのようなことが行えるのでしょうか。以下で、自然言語処理で実現できることについて簡単に紹介します。

固有表現抽出

固有表現抽出とは、「固有表現」を認識するための処理です。固有表現とは、企業名や人名、時間や金額などの表現のことを指します。固有表現の辞書を用意しておくことで、固有表現の認識が可能になります。

述語項構造解析

述語項構造解析とは、名詞と述語の関係性を解析する技術です。自然言語処理によって、名詞に対する助詞の役割、述語との関係性などを解析でき、単語間にどのような意味・関係があるのかを分析できます。

照応省略解析

照応省略解析とは、文中で省略された語句や「こそあど言葉」などの指示代名詞を読み取る処理のことです。例えば、「スーパーに行った。そこで、果物を買った」の場合、「そこ」がどこを指すのかを読み取ります。

感情推定・評判分析

感情推定・評判分析とは、感情や評判を拾う処理を行うことを指します。商品やサービスに対して寄せられる単語や文章を解析し、ポジティブ・ネガティブ・ニュートラルなどのように分類できます。

語義曖昧性解消

語義曖昧性解消とは、書き手の気持ちを明確にして、単語や文の意味を明らかにしたり、曖昧性を解消したりすることです。ルールもしくは統計的な方法によって意味を絞り込んで読み取っていきます。

含意関係認識

含意関係認識とは、異なる表現で同じ意味を含んでいる単語・文章を認識する技術です。例えば、2つの文書があった場合、1の文書が2の文書を含意しているかどうかなどが認識できるため、複数文書の要約や質問応答、情報抽出などに応用されます。

DRS(談話表示構造)

DRSとは、対話や独話(演説や講演)などの、文と文のつながりを解析する処理のことです。複数の文のつながりや構造、意味などの解析だけでなく、それ以外の知識や状況といった情報も必要になります。

自然言語処理の今後の展望

前述した自然言語処理を行う目的と重複する部分もありますが、自然言語処理はさらなる進化が期待されている分野です。さまざまなビジネスに活用される可能性も高く、新しいビジネスチャンスにつながることが見込めます。

 

まとめ

自然言語処理は、AIを支える研究領域の1つで、人間が使う言語をコンピューターに理解させることや処理が可能です。さまざまなビジネスへの活用が見込めますが、自然言語処理を活用するにはノウハウや知識が必要になります。

 

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