コールセンターの業務効率化に役立つ音声認識システムとは、どのようなものなのでしょうか。
この記事では、自社のコールセンターの業務効率化を目指している担当者に向けて、音声認識システムと業務効率化の関係性について解説します。
システムを導入するメリットとともに、サービスを選定する際のポイントにも触れるため、ぜひ参考にしてください。
- 音声認識システムとは?
- コールセンターの抱える問題を解決するために音声認識システムの導入が進んでいる
- コールセンターが抱えている問題
- コールセンターに音声認識システムを導入するメリット(現状、できること)
- コールセンターに音声認識システムを導入する際の注意点(現状の課題)
- コールセンターでの音声認識システムの活用事例
- コールセンターへの音声認識システムの導入、サービス選定時のポイント
- まとめ
音声認識システムとは?
音声認識とは、音声をAIが認識して自動的にテキストに変換することです。声の特徴を分析し、声を出している人の特定も可能です。音声認識システムの活用により、声を発するだけでさまざまな操作ができるようになったため、幅広い分野で導入されています。
コールセンターの抱える問題を解決するために音声認識システムの導入が進んでいる
コールセンター向けに開発された音声認識システムでは、顧客とやり取りした内容をテキスト化して自動的に記録できます。人が作業すると手間がかかる業務をシステムに任せられるため、カスタマーサポートの業務効率化に役立てられます。
コールセンターで人手不足が生じていても、システムを導入すれば問題解決につながる可能性があります。このような目的で音声認識システムを導入する企業も増えています。
コールセンターが抱えている問題
コールセンターは、さまざまな問題を抱えています。ここでは、具体的な問題について解説します。
人手不足に悩んでいる
コールセンターは離職率が高い傾向があり、人手不足が深刻な問題となっています。そのため、新しい人材も育ちにくい状況です。対応した後の履歴を入力するために時間がかかる点も、人手不足の原因のひとつとなっています。
ユーザーから高いサービスを求められるようになった
SNSで個人が発信する機会が増えたため、顧客対応の質に対する目線もより厳しくなりました。顧客に不満をもたせるような対応をした場合、口コミの拡散により企業やブランドのイメージを損なう恐れもあります。直接顧客とやり取りするコールセンターには、よりレベルの高いサービスが要求されるようになっています。
データの蓄積・分析が求められるようになった
データを蓄積して活用するのが当たり前になってきているのは、コールセンターも例外ではありません。しかし、音声データをそのまま分析するのは難しいため、手作業で履歴を作成する必要があります。
コールセンターに音声認識システムを導入するメリット(現状、できること)
コールセンターに音声認識システムを導入すれば、さまざまなメリットがあります。ここでは、現状でできることについて解説します。
コールセンターの自動化に役立つ
音声認識システムを活用すれば、簡単な問い合わせには自動応答できます。イレギュラーな内容や個人的な内容に対してのみオペレーターが対応すればいいため、待機させる人員数を減らせます。また、業務の工数も削減できることで業務効率化にもつながります。
VOCの蓄積、分析に役立つ
顧客の意見であるVOCを自動的にテキスト化することで、データとして簡単に蓄積できます。集めたデータを分析すれば、自社のサービスを改善するためのヒントとして役立てられます。新しい商品を開発する際にも、データを活用すればよりニーズの高いものを生み出せる可能性があります。
クレーム対応の効率化がはかれる
音声認識システムは、声の特徴を捉えて感情を分析することも可能です。顧客の状況を客観的に分析すると、的確な対応がしやすくなります。自動的にアラートをかける仕組みもあるため、不満をもっている顧客に対して早い段階で適切に対処できます。クレームへの対応を効率化することで、オペレーターの負担も解消されます。
応対品質の向上が期待できる
リアルタイムで文字起こしできるため、顧客とのやり取りを第三者がモニタリングすることも可能です。仮にトラブルが生じたとしても、解決方法を素早く検討して対応できます。オペレーター自身もやり取りを客観的に確認でき、冷静な判断につなげられます。
対応履歴入力の工数が削減でき、1件にかかる処理時間を短縮できる
音声認識システムは、ACWの短縮にもつながります。ACWとは「After Call Work」の略で、後処理のことです。通常オペレーターは対応後に履歴を手作業で入力しますが、音声認識システムがあればわざわざ時間をかけて入力する必要がありません。処理にかかる時間を短縮できて非常に効率的です。
対応履歴入力のミス削減にも役立つ
オペレーターが対応履歴を手作業で入力しなくて済めば、作業時間だけでなく入力ミスも削減できます。後から履歴を見返す際も、正確な情報をもとに対応できるため便利です。
オペレーターのアシスタント的役割ができる
音声認識システムは、コンプライアンスの確認にも活用できます。オペレーターがコンプライアンスに違反する発言をすれば通知されるため、スムーズな対処が可能です。コンプライアンスに従って対応できるようになればオペレーターの負担も減るため、離職防止にもつながる可能性があります。
新人~ベテランまでのオペレーターが一定水準で回答ができる
顧客の発言をもとに、音声認識システムがオペレーターに対して回答例を示すことも可能です。この機能を活用すれば、スキルや経験に関わらずすべてのオペレーターが一定水準の回答を示せるようになります。
オペレーターの育成にもつながる
ベテランのオペレーターのやり取りをテキスト化して共有すると、理想的な対応方法を新人に共有できます。音声認識システムは、オペレーターの育成にも役立てることが可能です。
コールセンターに音声認識システムを導入する際の注意点(現状の課題)
コールセンターに音声認識システムを導入する際は、注意したいこともあります。ここでは、具体的に3つ解説します。
信頼性が疑問視されることがある
音声認識システムの精度は高まっていますが、それでも人間とまったく同じレベルに達しているわけではありません。そのため、信頼性について疑問視されている部分もあるのが現状です。
導入コストが高い
音声認識システムを導入するには、まとまったコストがかかります。導入する際は、費用対効果を考慮しながら検討する必要があります。
ノイズが少ない環境や高品質マイクを準備する必要がある
システムに正しく音声を認識させるには、ノイズが少ない環境を確保しなければなりません。また、高品質マイクを準備し、一定以上の音質を保てるようにすることも重要です。
コールセンターでの音声認識システムの活用事例
コールセンターでは、具体的にどのように音声認識システムが活用されているのでしょうか。ここでは、2つの活用事例について解説します。
ソニーネットワークコミュニケーションズ社の事例
コールセンターでは、主にサービスの利用方法や不明点に関する問い合わせを受け付けています。音声認識システムの導入により、1件あたりの後処理にかかる時間を90秒短縮することに成功しました。業務の効率化を実現でき、人件費の大幅な削減にもつながっています。
トランス・コスモス社の事例
体系化したノウハウをもとにし、すべてのオペレーターが一定のレベルで対応することを目指して音声認識システムが導入されました。顧客とのやり取りをテキスト化したうえで、きちんと挨拶をしているか、使ってはいけない言葉をいっていないかをチェックしています。効率的にフィードバックできるようになり、オペレーターの育成のために効果を発揮しています。
コールセンターへの音声認識システムの導入、サービス選定時のポイント
さまざまな音声認識システムがあるため、選ぶときはさまざまなポイントに着目する必要があります。ここでは、サービスを選ぶときのポイントを解説します。
導入時~導入後のコストに着目して選ぶ
音声認識システムは導入時だけでなく、導入後にもコストがかかります。たとえば、メンテナンスを行ったり、新たな機能を追加したりすれば、そのたびにコストが発生します。音声認識システムを選ぶときは、どの程度のコストがかかるかについても調べておきましょう。
認識の精度に着目して選ぶ
音声認識システムを使いこなすためには、なるべく認識の精度が高いものを選ぶことをおすすめします。特に、チューニングを行えるシステムなら、実際の状況にあわせて精度を調整できます。チューニングする際はコストもかかるため、事前に精度やコストを確認しておくと安心です。
データ管理の安全性に着目して選ぶ
コールセンターでは、数多くの個人情報を扱っています。そのため、音声認識システムを導入すれば、自社にとって重要な情報がどんどんシステム内に蓄積されていきます。情報を漏らさずきちんと管理するには、データの管理について安全性が高いシステムを選ぶことが大切です。
データ分析の支援サービスがあるかに着目して選ぶ
新しく音声認識システムを導入しても、うまく使いこなせなければ意味がありません。収集した情報を活用するためには、データ分析が必要です。データ分析に関する支援サービスがある音声認識システムを選べば、どのような状況でもスムーズにデータ分析に取り組めます。
まとめ
コールセンターに音声認識システムを導入すれば、業務効率化や対応の品質向上などのさまざまなメリットがあります。人手不足の問題も解消しやすくなるため、ぜひ導入を検討しましょう。今回解説したポイントを意識して製品を選ぶことが大切です。
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