Voice of Customer (VOC)とは、「顧客の声」を意味する言葉です。顧客のニーズが多様化するなか、顧客満足度や企業競争力を上げる目的でVOCを活用する動きが加速しています。
この記事では、自社商品やサービスの向上を目指す企業に向けて、VOCの活用方法を解説します。基礎知識から収集方法まで網羅しているため、ぜひ参考にしてください。
- Voice of Customer(VOC)の意味と目的は?
- Voice of Customer(VOC)のおもな収集方法
- Voice of Customer(VOC)の活用方法
- Voice of Customer(VOC)分析を取り入れるべき企業とは?
- Voice of Customer(VOC)の分析方法
- Voice of Customer(VOC)の活用事例
- まとめ
Voice of Customer(VOC)の意味と目的は?
Voice of Customer (VOC)の意味とVOCを活用する目的について解説します。
そもそもVoice of Customer(VOC)とは何か
Voice of Customer (VOC)とは、自社の商品やサービスに対する顧客の声です。コールセンターに顧客から寄せられる要望やクレームはその代表例です。アンケート結果やSNSの評判、自社サイトへのメールや書き込みなどもVOCに該当します。
VOCを活用する一番の目的は、顧客満足度の向上です。顧客の声を収集してニーズや不満を洗い出し、自社商品やサービスにフィードバックすることによって顧客満足度の向上と売上げアップを目指します。
Voice of Customer(VOC)分析とは?
VOC分析とは、収集したVOCを分析して企業活動に役立てることです。VOCを集めても企業活動に活かせなければ意味がありません。購買行動の分析ではつかみにくい行動の理由まで把握できる点がVOC分析の強みです。
たとえば、コールセンターでは顧客の要望だけではなく感情も収集できます。テキスト解析ツールを使うと大量のテキストデータから有益な情報を抽出できます。分析結果は社内で共有してマーケティング戦略に反映させましょう。
Voice of Customer(VOC)のおもな収集方法
Voice of Customer (VOC)のおもな収集方法を4つ紹介します。
アンケート調査
アンケート調査は比較的低コストで利用できるVOCの収集方法です。商品やサービスの使用感をたずねるWebアンケートや催事場などで配布するアンケート、商品に同封して返送してもらうアンケートなど、さまざまな種類があります。
アンケート調査のメリットは、無記名式であれば通常は言いにくいネガティブな本音も集めやすいことです。ただし、標本に偏りがあったり回答率が低かったりすると役立つ情報が得られない場合があります。
コールセンターへの問い合わせやクレーム
コールセンターはVOCの収集にうってつけの場所です。オペレーターが顧客に一対一で対応するコールセンターなら、顧客の意見や感情を直接把握できます。
コールセンターに届くクレームや問い合わせにはネガティブなイメージもありますが、貴重なVOCとして重視している企業は少なくありません。要望や不満があっても企業に意見を伝えないまま離脱する人が多く、コールセンターに意見を寄せる割合はわずか5%以下ともいわれているためです。
SNSを活用した市場調査
SNSには多種多様な評価や口コミが大量に蓄積されています。SNSからVOCを集める手法をソーシャルリスニングといいます。自社や自社製品に対する率直な意見を幅広く収集できる点がソーシャルリスニングのメリットです。
企業の対応や広告に対する批判はまたたく間に広がるため、リスク管理の観点からもSNSは無視できません。ただし、SNSの情報は正しいとは限らないため、真偽の精査が必要になる点に注意しましょう。
ECサイト内のデータ
ECサイトに蓄積された顧客からのレビューはVOCの一つです。一方、ECサイト内で集計している各種データは企業が顧客の意向をくみ取るうえで役立ちます。コンバージョン率やページごとの離脱率、滞在時間などのデータはその代表例です。各種データの変化をチェックすれば、VOC分析を反映させたマーケティング戦略が有効だったかどうかもわかります。
Voice of Customer(VOC)の活用方法
ここでは、Voice of Customer (VOC)の活用方法について解説します。
マーケティング戦略や施策に役立てる
VOCの一番の目的は、分析結果をマーケティング戦略や施策に活かすことです。現代の成熟した市場では競合他社との差別化が困難になっており、新しい発想が切実に求められています。顧客の声を収集・分析することで社内では気づかなかった新しいアイデアが生まれる可能性があります。
従業員の充足感向上に役立てる
企業にとってコールセンターは欠かせない部署ですが、クレームや批判を直接受け続ける環境はオペレーターにとって大きな負担です。疲弊したオペレーターが離職してしまうケースも珍しくありません。VOCの活用で顧客満足度が向上すればクレームが減るだけでなく、従業員の充足感向上にもつながります。
Voice of Customer(VOC)分析を取り入れるべき企業とは?
Voice of Customer (VOC)分析を取り入れるべき企業について解説します。
課題点を明確化できないでいる企業
「新規顧客を獲得できない」「リピーターが増えない」などの問題を抱えているものの、原因や適切な対応策がつかめない企業は積極的にVOC分析を取り入れましょう。内部視点では気づかない自社の課題点を明確にできる可能性があります。
顧客の声をこれまで収集してこなかった企業は、どんなVOCが自社にとって有益なのかを検討するところからはじめましょう。低コストで使えるVOC収集・分析ツールをお試しで利用してみると具体的なイメージをつかみやすくなります。
資産価値として顧客の声を活用したい企業
顧客の声を収集しているにもかかわらず、十分に活用できていない企業にもVOC分析は有効です。顧客の声は企業の運営方針をも左右する重要な情報資産です。社内に蓄積したデータを有効活用しましょう。
一方、顧客のニーズやトレンドの変化が早くなっている点にも注意が必要です。過去に集めたVOCがいつまでも有益だとは限りません。VOCの収集・分析を継続的に実施して、スピーディーに商品やサービスに反映させる仕組みを構築しましょう。
Voice of Customer(VOC)の分析方法
Voice of Customer (VOC)の具体的な分析方法を解説します。
Voice of Customer(VOC)収集の目的や方向性を明確にする
VOCの収集や分析に取り組む際には、はじめに目的を明確にする必要があります。目的もなくVOC活用を進める方法は効率的ではなく、大量のデータを集めて分析さえすれば必ず有益な情報が得られるというわけでもありません。自社にとって役立つVOCの種類や収集・分析の方向性を事前に決めておきましょう。
運用設計および管理方法を決める
VOC収集・分析の運用方法と管理方法を決定します。たとえば、収集業務をコールセンターのオペレーターが担当するのかチャットボットを使うのかによっても運用方法は変わってきます。個人情報を収集することになるため、徹底したデータ管理と情報漏洩対策も欠かせません。VOCを一元管理する体制を構築することも視野に入れましょう。
分析システムやツールを導入する
VOCの収集や分析に必要なツールやシステムを導入します。代表的なツールにはコールセンター支援システムやCRM、テキスト解析ツールなどがあります。効率的なVOC活用を実現できるツールを選びましょう。たとえば、コールセンターにAI音声認識機能を導入すれば電話の音声を自動的にテキスト化でき、オペレーターの負担軽減につながります。
運用・評価を継続する
有益なVOCを蓄積するためにはある程度時間がかかるため、継続的な収集が不可欠です。分析した結果は社内でスピーディーに共有して、商品やサービスの改善や開発につなげましょう。施策や戦略の結果を評価する作業も重要です。試行錯誤を繰り返しながら自社にとって最適なシステムにブラッシュアップしていきましょう。
Voice of Customer(VOC)の活用事例
ここでは、Voice of Customer (VOC)の活用事例を紹介します。
ツールを活用したVOCの一元管理
宿泊業を営むある企業がツールを活用してVOCの一元管理に成功した事例を紹介します。この企業の課題は、オペレーターによって顧客対応の品質に差があることでした。顧客対応がスムーズに進まなければ、他の顧客からの問い合わせに対応できない呼損が多発しかねません。
VOCツールを導入して問い合わせ内容を一元管理し、「よくある質問」を作成してオペレーター研修に活用したところ、顧客対応の品質が平準化されて呼損の削減につながりました。
顧客の声に応えるサービス展開による売り上げ向上
ある通販会社は「新しい電化製品を購入すると、古い電化製品が不要になって処分に困る」というVOCからヒントを得て、電化製品の下取りサービスをはじめました。これが高評価につながり、売上アップを実現しています。
まとめ
多様化する顧客のニーズにマッチするサービスや商品を提供するためには、VOCの収集と分析が欠かせません。企業によっても有益なVOCの収集・分析方法は異なるため、自社にあったシステムやツールを導入しましょう。
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