「『YOSHINA』を知って衝撃を受けた」。そう語るのは、コンタクトセンター事業やBPO事業を展開する日本トータルテレマーケティングの山田和弘様。
7社の製品から『YOSHINA』を選定された経緯、そしてVOC(Voice of Customer)活用を通じて描く未来を、レトリバの板谷整彦が伺いました。
- 労働集約型産業から、VOCを活用した高付加価値ビジネスへ『YOSHINA』導入で加速するアウトソーシング事業
- 7社を比較検討した末に『YOSHINA』を導入
- より短納期で質の高いVOCレポートの作成が可能に
- VOC分析・活用を自社のコアなノウハウに
労働集約型産業から、VOCを活用した高付加価値ビジネスへ
『YOSHINA』導入で加速するアウトソーシング事業
日本トータルテレマーケティング株式会社 公共事業本部 公共ビジネス営業部 山田 和弘 様 プロフィール
コンタクトセンターのオペレーション現場経験から顧客接点が持つ潜在的な価値や可能性を引き出すツールとしてテキストマイニングの技術を学ぶ。ナレッジの最適化、オペレーションの品質管理、マーケティング戦略へのフィードバックなどの分野で確認中。「面白い」と言ってもらえることが自分への最高の誉め言葉。
株式会社レトリバ 製品企画部 プロジェクトリーダー 板谷 整彦 プロフィール
これまで人材・IT業界やベンチャー・上場企業などさまざまな業種・規模の企業で、営業、マネジメント、プロダクト責任者、新規事業開発などを経験。ある企業の採用活動の改善プロジェクトでテキスト活用により成功を収めた経験から、テキスト分析の可能性を感じ、2019年よりレトリバに参画。現在はプロジェクトマネージャーとして、お客様のテキスト活用上の問題整理から提案、分析まで幅広く従事。日々発見を得て邁進中。好きな言葉は「自ら機会を創りだし、機会によって自らを変えよ」。
7社を比較検討した末に『YOSHINA』を導入
板谷 御社がVOCの分析や活用を開始されたのはいつ頃でしょうか。
山田様 2013年にクライアントからVOC分析依頼をいただき、それが好評だったため継続したのが最初です。その後、音声マイニングや『CS Createシリーズ』(顧客満足創造を支援する自社サービス)の事業化を開始しました。
今回、新たなテキスト分析ツールとして『YOSHINA』を導入させていただいた背景には、自社の将来を見据えてより収益性の高い事業を展開していくという目的があります。コンタクトセンター事業は、AIの出現による縮小が懸念される労働集約型産業。弊社が集めてきたVOCという財産にさらに付加価値をつけてクライアントに提供できれば、持続的な成長が見込めるのではないか。そう考え、まずは従来使っていたツールを見直すところから始めました。
板谷 今回、VOC分析による事業の付加価値創造に向けた分析ツールのご検討ということで合計7社の製品の中から『YOSHINA』をお選びいただいています。選定にあたって重視したポイントはどこですか?
山田様 商品化・事業化する際に重要なのは、「売れる体制」の構築と「売り方」の開発。VOCレポートは単価が高いため、クライアントに一見して費用対効果を感じていただかなくてはなりません。また、高付加価値のあるレポートを作成できる人材の育成も必要です。これらの課題をいかに解決できるかを重視して選定しました。
実は、もともと2020年4月に新ツールを導入する予定で進めており、その時点では『YOSHINA』はまだリリース前だったんです。その後コロナが流行してしまい、給付金関連事業などの引き合いで私のいる公共事業本部が多忙を極めたため、VOC活動もいったん凍結させることに。『YOSHINA』を知ったのは2020年10月で、その翌月から『YOSHINA』も含めてツールの検討を再開しました。
板谷 こういう状況にならなければ別のツールを導入されていたんですよね。なんだかめぐり合わせを感じます。私が登壇したオンラインセミナーで『YOSHINA』を知っていただいたとお聞きしていますが、そのときの印象はいかがでしたか?
山田様 衝撃を受けましたね。従来のツールの大半は、定性情報であるテキストを数値化するところから始まり、そのあとの分類方法は人間が考える必要がありました。でも、ツールが吐き出した数値から何を読み解き、どう考察を深めるかは、テキストマイニングの知識をある程度つけないと見えてきません。
一方で『YOSHINA』は、最初にAIが分類まで行なってくれて、単なる数値ではなく人の感性に近いアウトプットを見せてくれる。従来のツールと異なり、どう分類するかで悩む必要がなくなったということです。人間は分類結果から特徴を見出して、数値を裏どりしながら、問題の解決案までをレポート化していくという重要なプロセスに注力することができるようになりました。テキスト分析の軸となる分類工程を「人」ではなく「機械」に合わせるというのは、発想の大転換でした。
これなら分析業務に携わるメンバーだけでなく、コンタクトセンターなど各部門の管理者たちにも一斉に使ってもらえる。結果、質の高いVOCレポートの生産機会が急増し、事業化を進めることができる。当初想定していた課題を一気に解決できると感じました。
板谷 ありがとうございます。『YOSHINA』の特徴はまさにそこで、テキストマイニングの知識がなくてもコンタクトセンターの対応をされる中で培われる対象業務の知見さえあれば誰でも分析できるツールを目指しました。単に「出てくる単語や係り受けのランキング」といった集計データだけ出しても、そこから先の分析は知識がないと進まない。であれば、単語と文章の関係性をもとに分類までAIに任せてしまいましょう、というのが開発時にこだわった部分です。
ちなみに、7社の比較検討はどのように進められたのでしょうか。
山田様 それぞれの特徴を洗い出し、実際にシステムを触ったのは3社。検証まで行なったのは2社のみです。弊社で分析済みのデータを再度分析してみた結果、『YOSHINA』は従来の目検による分類結果の再現性が90%近く(※)、分類作業の工数も47%削減されました。
実は分類の精度は2社とも同程度だったのですが、最終的に『YOSHINA』を選んだ決め手は圧倒的な扱いやすさ。もう1社のツールは、細かなチューニングやセッティングができる一方で、使いこなせるまでにかなり時間がかかる印象でした。
※教師あり分類の場合
より短納期で質の高いVOCレポートの作成が可能に
板谷 実際に導入されてみて、どんな成果につながっていますか?
山田様 すでに何件か明確な成果が出ています。アンケートデータ2万件の分析依頼をいただいた際は、通常2か月かけるところを1か月で納品でき、メンバーの残業時間も削減できました。
また、最近いただいた口コミサイトのデータ分析依頼では、納期や分析内容に応じて3プランをご提案しています。具体的にはYOSHINAの機能とプランが密接に連動していて、プラン1は、教師なし学習による分類を基軸に対象データの全体像を俯瞰するメニュー。プラン2は、1の結果に別軸を掛け合わせた分析による考察。プラン3は、2の結果から教師データ作成および教師あり学習による自動分類モデルの構築を行ない、定点観測する分析体制を構築するという内容になります。これまでは選択肢がほぼ一択でしたが、クライアントのニーズに柔軟にお応えできるようになりました。
「VOCレポートを依頼したが、データが並んでいるだけでよくわからなかった」という声をよく聞きます。また、レポートは単価が高い分、ページ数の多さで価値をはかられることも多々あります。その点、弊社のレポートは問題・仮説だけでなく打ち手まで考察し、それらが一見してわかるように作成しており、じっくり練られたレポートはページ数もむしろ少ない。『YOSHINA』を導入して、「その最終工程の問題は何か?」「どんな打ち手が考えられるか?」を考察する部分により専念できるようになりました。
板谷 社内のみなさんの反応はいかがでしょうか。
山田様 もともと分析業務をしていたメンバーからは、「とても使いやすい」というコメントをもらっています。今後、運用勉強会を毎月実施していく予定ですが、前回参加してくれたコンタクトセンター管理者からはすでに「使ってみたい」という反応も出てきていますね。生音声を聴きながらの会話分析からテキスト分析へ移行することで、オペレーターの教育やスキルアップにうまく活用できると感じています。
板谷 現在『YOSHINA』は月1回バージョンアップしていますが、「分析作業の際にこの部分が邪魔になる」など山田様からいただくフィードバックは非常に参考になっています。今後『YOSHINA』に期待されることがあればぜひお聞かせください。
山田様 最も期待するのはやはり、人の感性に近しいアウトプット。もともと優れている点ではありますが、たとえばVOCの中に異分子となる要素が入り込んできた際に、それを明確に目の前に提示してくれるような仕組みがあるといいなと思います。
また、板谷さんの手厚いサポートにはとても感謝しています。レトリバさんは営業と開発の距離が近く、困ったことがあるとすぐに答えを出してくださる。そこが『YOSHINA』を選んだ理由のひとつでもあるので、引き続きお願いしたい部分です。
VOC分析・活用を自社のコアなノウハウに
板谷 御社のVOCへの取り組みは今後どう進化していきますか?
山田様 『YOSHINA』の導入により分析の量と質を担保できるようになったので、まずは既存クライアントへの宣伝強化。また、社内での運用も普及させたいですね。現場がVOCを分析できるようになればお客様へのアウトプット力や提案力が上がり、クライアントの信頼にもつながります。
弊社に集まるVOCは、業種も、企業とエンドユーザーの関係性もさまざま。そのVOCデータベースを活かせば、単にコスト削減など目の前のメリットだけでなく、企業のライフサイクルに応じてエンドユーザーのLTV(Life Time Value)やカスタマージャーニーをふまえた施策を提案できるようになる。今後はそうしたデータ活用ビジネスにも挑戦していきたいです。
板谷 御社の発展に不可欠なVOC分析のお手伝いができて嬉しく思います。
山田様 言葉は「考える道具」。他人に伝わる過程で化学反応が起こり、ナレッジが生まれます。VOCを展開することは即ち、さまざまな化学反応を起こしていくこと。この面白さを追求しながら、VOC分析・活用を弊社のコアなノウハウにしていきたいと考えています。