事例紹介:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様「コンタクトセンター部門への導入を皮切りに、 お客様一人ひとりのCX向上のための全社展開を目指す」

『YOSHINA』リリース前から意見交換や検証にご協力いただいてきた、あいおいニッセイ同和損害保険の緒方康夫様。

レトリバの鷺坂文野との対談を通じて、コンタクトセンターの応対品質向上にとどまらず全社的な品質向上を見据えたVOC(Voice of Customer)活用戦略について語っていただきました。

 

 

コンタクトセンター部門への導入を皮切りに、 お客様一人ひとりのCX向上のための全社展開を目指す

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 コンタクトセンター事業部 参与 緒方 康夫 様 プロフィール

新卒入社時、企業保険営業部配属後、商品部に異動し、積立保険・医療保険などの長期商品の商品開発・事務システム開発・販売推進に長年従事。2012年コンタクトセンター事業部に異動し、コンタクトセンター在籍10年目。コンタクトセンター運営改善に取り組むとともに、CX向上、業務効率化・生産性向上に向けて、DX、業務プロセス改革、VOC分析・アナリティクス分析などの企画推進を行っている。

株式会社レトリバ 製品企画部 プロダクトマネージャー 鷺坂 文野 プロフィール

コールセンターにて受電現場から運営にかかる本社業務まで全般を経験。一方で、社内のさまざまなIT業務の導入・構築・運用化までの立ち上げ、実際に寄せられる声の分析・改善提案・社内展開などの活動に注力。企業が社員や顧客の声を最大限に吸い上げて改善していけるよう、AIやITシステムの導入・運用・社内展開時におけるシステムだけでは解決できないお悩みを解決すべく、2018年にレトリバに参画。「ちっちゃなことから世の中に活力を」をモットーに『YOSHINA』プロダクトマネージャーとして日々奮闘中。

 

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年間100万件のお問い合わせを効率的・効果的に分析

鷺坂 御社とのお付き合いは2019年1月から。ベンチャーキャピタルにご紹介いただいたことがきっかけでしたね。当時は『YOSHINA』の構想もまだない段階でしたが、その頃の御社のご状況を改めてお聞かせいただけますか?

緒方様 弊社は2019年末に音声認識システムを導入し、コンタクトセンターの業務品質向上を目指してきましたが、それ以前はオペレーターが入力した会話履歴データをもとにVOCを集めようとしていました。しかし、入力内容はあくまでもお客様のご要望を営業店や代理店に伝えるためのもの。お客様がどこに困っているのか、なぜわかりにくいのかといった背景の部分は端折られているので、正確な分析ができませんでした。

 そこで音声認識システムを導入してVOCをテキストデータ化し、活用を進めてきたのですが、データの確認も分類もすべて人の手作業。弊社のコンタクトセンター部門に寄せられる年間100万件のお問い合わせを分析するには、業務量が膨大すぎた。これをいかに効率化し、CX(Customer Experience)向上の仕組みを構築するかが、大きな課題でした。

鷺坂 御社からテキスト分析ツールの開発のご相談をいただいたとき、弊社では自然言語処理ノウハウを活かした新規事業の企画を進めていました。当初は別ものとして取り組んでいましたが、御社と意見交換や実用化に向けた検証を進めていく中で一本化することに。緒方さんがいらっしゃらなければ『YOSHINA』は完成しなかったといっても過言ではありません。

緒方様 テキスト分析ツールの中にはアルゴリズムを売りにしている製品もよくありますが、時代が変わるたびに精度のいいアルゴリズムが出てくるので、アルゴリズムそのものよりその変化についていくことのほうが重要。いまある技術で、どの程度までビジネスにマッチした動作ができるかを、一緒に追求してくれるベンダーが理想でした。その点、レトリバさんは私たちの声を柔軟に取り入れてくれて助かっています。

鷺坂 緒方様から見て、『YOSHINA』の強みはどこにあるとお考えでしょうか。

緒方様 従来はVOCデータの分類を単語ベースで行なっていましたが、それではうまく分類されず、分類結果を読み解くのも難しかった。しかも当時はコンタクトセンターでの受電経験者ではなく企画系の社員が分析を担当していたので、より難易度が高かったんです。

『YOSHINA』は単語だけでなく文章ベースで、VOCをトピックごとに分類してくれます。正解データをもとにモデルを作って分類していく教師あり学習はもちろん、正解データのない教師なし学習についても分類結果が人間の感覚と近く、ここまで高い精度でクラスタリングできたと感じたのは初めてでした。操作性が高く、パッケージ製品なので比較的安価で導入できる点も強みだと思います。

商品開発や業務改善など、他部門への展開を予定

鷺坂 2021年6月のリリース後、正式に『YOSHINA』を導入いただき、現在はコンタクトセンター部門で活用いただいています。今後の運用方針についてお聞かせください。

緒方様 今後は業務品質向上推進部と連携して、商品開発や業務改善などコンタクトセンター以外の部門にも展開していく予定です。コンタクトセンターの応対品質の向上にとどまらず、商品やパンフレットの改訂などを通じて全体的な品質向上を目指したい。そもそもお客様に疑問を生じさせない体制にすることで、コンタクトセンターへの入電は減り、お客様の満足度向上にもつながっていくと考えています。

 品質の改善を図る際、これまでは社員への個別ヒアリングなどで実態を把握していました。しかしその方法だと、声の大きい人の意見が通りやすくなってしまう。VOC分析データを活用すれば、客観的データに基づいて効果の高いものから優先的に改善していくことが可能になると見込んでいます。

鷺坂 社内展開にあたって課題に感じられている点はありますか?

緒方様 現在はパソコン単体での利用ですが、社内展開して各部門がハンドリングできるようにするにはサーバ化が必要です。2021年度中には環境を整備して展開を進めていくつもりです。

VOCを通じて、保険という「お守り」のレベル向上を図る

鷺坂 現在、リモートでの本打ち合わせは2週に1回、ご担当者様とは週2〜3回のペースで密にやりとりさせていただいています。今後の『YOSHINA』に期待することやご要望があればぜひお伺いしたいです。

緒方様 『YOSHINA』のAIでの分類はいまも非常に役立っていますが、今後はさらなる進化に期待したいですね。どうしても人間が手作業でフォローしなければならない部分が出てくるので、もう一段レベルアップいただけたら生産性がより高まると思います。

鷺坂 この先、VOCの重要性はますます高まっていくと思われます。緒方様はVOCの分析・活用を通じてどのような未来を実現していきたいとお考えですか?

緒方様 保険という商品は「お守り」のようなもの。万一事故が起きた際のヘッジを保険会社が担っています。これからは、お客様一人ひとりのニーズに対していかに個別最適を追求するかが重要な時代。お客様の納得感を醸成し、満足度を高め、「お守り」としてのレベルをより一層向上させていく流れを作りたいと思っています。

 そのためには、VOCデータの分析力や活用力を高めていく必要がある。テキストの活用は難しいですが、同時に面白さも感じていますね。

鷺坂 ありがとうございます。これまでの日本の文化は、「企業が何を提供するか」を重視する傾向にありました。ですが、これからは「お客様に何を提供できるか」の時代だと感じています。弊社も、私個人としても、消費者をきちんと見ている企業を応援していきたい。日本の企業は、こうした新たなツールやシステムの社内運用化がうまくいかないケースが多いので、御社にはぜひVOC活用のパイオニアとして、業界を超えてリードしていただきたいと思っています。

 

yoshina.retrieva.jp